2015年02月17日

あるメッセージ



いつもアルバムの革を仕入れている革屋さん。

先日梱包をといたら嬉しいメッセージが入っていました。嬉しいな、

少しのメッセージでほっこりあたたかな気分になることができました。

びゅんと仕事が進みます!  

Posted by kawata at 19:42Comments(0)思い入れ

2015年01月17日

20年目の1.17


今日で阪神淡路大震災から20年がたちました。

その日僕は西宮市に住んでて震災のひどい揺れも、その後の混乱も体験しました。

震災から20年がたったなんて想像できないし、何よりあの時20年後のことを考える余裕なんてまったくなかった。

あの後時間がたってこのように家族や仕事場のスタッフと毎日楽しく過ごしているのは感謝してもし切れないくらいの幸運に恵まれているからだと思います。


当時、僕は19歳でした。

世の中はすべてが秩序だったものだと思っていました。

信号は赤から青、そして黄色と順番に変わっていったし、電車は時間通り夙川駅に到着し、朝の8時に乗れば決まってギュウギュウ詰めで、午後の1時に乗れば必ず座れました。

アルバイトは9時45分にはじまり、1分でも遅刻をすれば1ヶ月間の時給がうんと下がりました。


それが1995年1月17日まで僕が見てきた世界でした。


でも一瞬にして住み慣れた街は崩れてしまった。信号もつかず、電車も動かなくなりました。
自宅の電気も水道もガズも何もかもがストップ。

テレビで震災の映像が流れると消防車のサイレンの音や、燃え盛る炎や、「早く助けろ!」という怒号などで現場は騒然とした印象ですが、実際の震災直後の被災地は驚くほど静かでした。

車も電車も走らず、人々は(ぼくも含め)何が起こったのか分からず、静かにいました。
静かに公衆電話に並び、静かに給水を待ちました。

目に見えていた秩序は脆く、信号も電車もストップ。アルバイト先は火災で燃えてしまいました。

目に見えない秩序はこういう時もへっちゃらなようで、みんな列になって給水や炊き出しに並びました。
一番近くで営業している銭湯の場所を教えあい、信号だって消えていたのに渋滞の国道はクラクションを鳴らす車はありませんでした。

崩れたもの、崩れなかったものをこの目で見ることができたことはぼくにとって、これまで生きた中で最も重要な事で、あの強烈な揺れとともにその記憶は忘れないものだと思います。



ぼくは、震災の起こった時19でした。

震災まで約20年生きて、また震災後も20年生きました。

これから震災後に生きた時間が長くなってゆき、少しずつ震災の記憶も遠いものになってゆくのだろうけど、せめて1月17日だけはじっくり地震のことを考えたいと思います。

そしてあの時感じたことをいつまでも大切にし、若い娘たちに伝えなければと改めて思います。



今日は滋賀まで家族撮影に呼んでいただきました。

本当に仲の良い家族で、2歳の息子コウタくんはすっかりぼくにもなついてくれて、家の中を走り回り、みんなで大笑いして撮影を続けました。

毎日家の中で繰り広げられているかもしれないけれど、思いっきり幸福なこの光景に立ち会えることに感謝にしなければと思います。

そう思って運転中の帰り道。道路はキラキラ輝いていました。


  

Posted by kawata at 20:01Comments(0)思い入れ

2014年01月17日

1月17日の記事




きょう1月17日は阪神淡路大震災があってから19年目にあたる年です。

僕は今38歳。震災まで19年生き、震災後も19年生きてきました。

38年を振り返ると、震災があった19歳を境に世の中の見方が随分変わりました。

19歳までは当たり前にあったもの、絶対だったことが、どれほど脆くだからこそ大切なことだったのか・・

僕の目の前で当たり前に建っていた建物は崩れ、電車は止まり、蛇口をひねっても水は出ませんでした。
ひとの命があんな多く一度に失われるなんて、自分の住む家が崩れ落ちるなんて想像すらできませんでした。「生きていたい!!」と心の底から思いました。

あの頃の僕にはその時に起こった事態は理解できる範疇を超えすぎていて考えることすらできなかったけれど、生まれてからずっと信じていた世の中の「絶対」が一瞬でなくなってしまうということを身をもって体験した年になりました。

震災後の19年間は「眼の前のものはいつか消えてしまうかもしれない」という、恐れのようなものがつねに頭の片隅に住みついています。

「いつか消えてなくなる」ことは本当のことです。

だからこそ、今目の前にあること、目の前のキラキラしたことを大切にしなければと心の底から思えるようになりました。

家族と過ごす当たり前の時間、結婚式を撮影する時の喜び、スタッフたちと共有する仕事の楽しさ・・

その時感じた気持ちを胸に刻み生きていたいと思っています。

ものは必ず消えてなくなります。でもその時感じたココロは決してなくならないし、次の世代に受け継がれてゆくもの。ココロの中にあるものを大切に、当たり前のものを大切に。

19年前の出来事を境にしてそう思えるようになりました。


今日一日は震災の日を思い返して過ごします。


河田洋祐
  

Posted by kawata at 14:35Comments(0)思い入れ

2013年06月03日

4月から始まる







なかなかブログに書くことができなかったのですが、今年の4月からケープ・ライトはさまざまな変化が続いています!


まず始めに、ウェブサイトをリニューアルしました。


殆どの部分はそのままなのですが、トップページの「最新スライドショー」と「新着ニュース」を見やすい位置に。
そしてメーテル作のイラスト説明を大きく扱っています。

トップページにイラストを多く入れるのは冒険すぎるものの、普通の文字を並べるよりも、ケープ・ライトが伝えたい手作り感や体温のようなものが伝わりやすいんじゃないかと思って、思い切って変えてみました。

うまく伝わってるかな??


「ケープ・ライトについて」のページでは4月から仲間に加わったももちゃんとアツコさんを紹介するページを作りました。



そう、春から最も変わったところは4月からメンバーが二人も増えたところです!

もともと少ないメンバーでやっていた僕達のところに2人も新しいスタッフがやってくるなんて、これまでなかったこと。
人里離れた山の中に暮らしていたのに突然都会に引っ越したような変わりようです(いや、さすがにそれは大げさですね・・)

でも,間違いなく静かなアトリエが一気に賑やかになりました。


新しく加わったメンバーを紹介しますと

*ももちゃん

メーテルと同じ平成2年生まれ。写真は初心者ですが、真面目な正確だし笑顔が可愛いし、将来性を感じさせます。慣れない中、平日土日問わずアトリエで仕事をしてくれていて、ケープ・ライトの戦力となっています。

*アツコさん

2009年に結婚式の撮影をさせてもらった花嫁さまで、ご自身の結婚式の撮影後も結婚式を挙げるお友達を紹介してくださったり(友人の結婚式で一緒にグアムまで行ったこともありました)記念撮影でつながりを頻繁に持たせていただいていました。今回縁があってレザーアルバムの手縫いを手伝ってくださることに。持ち前のセンスを生かしたアルバム作りはケープ・ライトにとって大きなチカラです。



4月から仲間が加わることによってパワーアップし、ウェブサイトもリニューアル。
さらに面白い仕事を数多くやって行けそうな予感がします。

これからもケープ・ライトをよろしくお願いいたします!!!





ケープ・ライトのホームページはこちらからご覧いただけます

スタッフ紹介のページはこちらから  

Posted by kawata at 19:33Comments(0)思い入れ

2013年01月17日

1.17





寒さが苦手なぼくは、これでもかっ!と言うほど大げさに厚着をしてHAT神戸を歩きました。

ここは阪神淡路大震災後にできた街。

マクドナルドもスーパーものんびりしたいつもの雰囲気だけれど、1995年の今日はそうは行きませんでした。


1995年の今日、阪神淡路大震災は起こりました。




19歳の時に震災に遭って強く感じたこと。

たとえば人のつながりの大切さも、もちろんそうだけれど、震災を境に自分の中で変わるきっかけになったこと、それはこの世に「絶対」なんてことはないというこです。

いつまでもあり続けると思い込んでいたぼくが住む夙川や三宮の街は一瞬で崩れ落ちました。(それどころかぼくが住んでいた家も全壊でした)
時間に遅れることもなく毎日正確に走っていた阪急電車は高架が倒れ、半年たっても走ることはありませんでした。
水道やガスを使うことも諦めなければなりませんでした。

何となくぼくが生まれる前にできて当たり前のようにあったシステムが一瞬でなくなったことは、
その時はうまく事態が飲み込むことができなかったけれど、時間が経つにつれ、とんでもないことなんだな・・と思います。

カタチあるものはいつかなくなる、なんてよく言うけれど、それは本当だったんだ、と身を持って、しかも一瞬で知らされました。

その体験から18年。
つくづく今当たり前のようにあるものを大切にしようと思います。(その考えも当たり前だけれど・・)

蛇口を捻って水が出て、温かいお風呂に浸かれて、ゆっくり眠れる布団があって、時間通りに電車がやって来て・・・
そう思うと、いつもうるさいな~なんて思ってしまう娘や妻のおしゃべりやいびきも大切なモノだな、と思えてくるし、こんな文章を書くと、今夜娘たちの寝顔を見るのが楽しみになってさえ来ます。

普通の日常がかけがえのないものだった、と知らされます。


年を重ねるごとに震災のことを思い出す機会は減ってきてしまいました。
でもせめて1月17日だけは95年のことを考えて過ごしてゆきたいです。

今日はHAT神戸にある「人と防災未来センター」で震災当時の映像を見て来ました。
帰り道に見た今の街のだたずまいは奇跡のように美しく見えました。






下の写真は年末に撮った娘たちの写真。この笑顔がいつまでも続く世の中でありますように。



  

Posted by kawata at 18:48Comments(0)思い入れ

2013年01月04日

あけましておめでとうございます!



あけましておめでとうございます!!

昨年は楽園ブログのメンバーに入れていただき、編集長や情熱パートナーの皆様、
読者の皆様などさまざまな方と出合うことができ、多くの刺激を受けました。
出会うことのできた全ての皆様に感謝します。ありがとうございました。

お正月は家族でノンビリ過ごし、昨年のこと、今年やるべくことなど、色々と考える時間を持ちました。

昨年一年間も多くの結婚式の撮影に行かせていただき、感じたことは
「やっぱり、ぼくたちこの仕事が大好き」だということ。



撮影がある早朝、まだ醒めきっていない頭で外に出て新鮮な空気を吸った瞬間
目に映る風景の彩度が上がり、一気に自分の中のスイッチが入って頭が覚醒するのが分かります。
そんな瞬間が好きです。

朝、結婚式を迎える花婿と花嫁と顔を合わせて、「晴れたね!」なんて言いながらお互い少しそわそわ
している。そわそわしながらその日初めてシャッターを切る、その瞬間が好きです。

ウェディングドレスを着た花嫁を見た瞬間はいつも息を呑みます。
少し照れて、でも誇らしげな表情、それを「ええやん!」なんてちょっと格好付けて見る花婿の姿。
そんな遣り取りを見る瞬間が好きです。

挙式の入場シーンは個性が出ます。
緊張で顔を上げることが出来ない花嫁。
嬉しさのあまり、ひとりひとりの友人に目を合わせて微笑む花嫁。
父と共に花婿が待つ場所へ一歩一歩近付いて行く、そんな瞬間が好きです。

指輪交換、キスシーン、撮影する僕たちは毎回例えようのない緊張におそわれます。
息をするのを忘れ、心臓の音が体の中で響き渡るそんな緊張感のなかに身を置くと
ぼくたちの仕事の重要さだって再認識させられます。
じつは緊張感を味わうことだって大好きです。

パーティーは始まる前のバンケット。
テーブルセッティングも出来上がり、サービススタッフは不備がないか最終のチェック。
その仕事ぶりはプロ意識の集まりです。「○○大丈夫か?「はい、問題ありません」
テーブルセッティングを撮りながらそんなプロの遣り取りを聞く瞬間が好きです。

パーティー最初の花婿のゲストへ向けた挨拶。前の日からずっと暗記の練習してました。
今朝も練習しました。準備万端だったはずなので、いざ挨拶が始まるとゆうじんから
「固いぞ!」「まじめすぎるよ、いつも通りやれよ!」なんて言葉が飛びます。
場を盛り上げる友人、困り顔の花婿。すべては良い方向へ流れ、会場はリラックスした
空気に一気に変わります。そんな瞬間、友人の思いやりだが大好きです。

子供たちが多いと、みんなじっとはしていません。やがてバンケット内を走り回ったり
もしますが、大人たちは気をくばりつつ自由に遊ばせます。
子供が子供で楽しんで、オトナはオトナで楽しんで。みんなのいるべき場所があるって
最高です。そんな光景を見ながらシャッターを切るのが大好きです。

ゲストからのスピーチがあって、花嫁花婿の周りに人が集まると、ぼくらは「写真撮りますよ~」
なんて言いながらゲストみんなが持っているカメラのシャッターを押します。
みんなの輪の中に入ると、二人にも友人にも
親近感が湧きます「あいつと○○ちゃん付き合うまで、おれらもむっちゃサポートしたんですよ」
そんな話を聞くと、いっきにその友人のことも大好きに。そんな瞬間が好きです

それにふたりとパーティーでゲストみんなとの繋がりがわかると、ひとり一人の関係にも親近感が湧きます。
良いパーティーはみんながその親近感を共有すること。親近感とは目に見えないものですが、
ある瞬間この会場の空気、むちゃくちゃ良いって感じることがあります。
その瞬間、その場所に身を置くことができるのが大好きです。

パーティーが開いた後の二人&両親の表情を見るのが大好きです。
緊張から放たれた瞬間のホッとした表情を見るのが大好きです
「カワタさんありがとうね~」なんてお父さんにハグされながら・・

お開きが済んでも会場内に残って、オモチャで走りながら遊んでいる子供たちの姿を見るのが
大好きです。結婚式とは関係ないかも知れないけれど、ついつい写真撮ってしまします。

会場を後にするふたり。やりきった気持ちと満足感で晴れ晴れとした表情。
あいつのスピーチマジ泣きそうになった」そんな話を聞きながら
ホッとした時間を一緒に過ごす瞬間が好きです・

二次会でリラックスした表情に変身した二人を撮る瞬間が好きです。
ようやく緊張からも解放されたのでしょう。二人の姿はみるみるいつもの二人らしさが出てきます。

二次会もおひらきになり、正真正銘、結婚式の一日が終わったときのふたりの表情。
握手をするカップルもあればハグをするカップルもあります。
それぞれにあいてを労りながら達成感にひたる。そんな瞬間が大好きです。

スタッフと共に、帰りの電車のなかや車の中で、良い一日やね~とそのついさっきまであった
結婚式を振り返る瞬間も大好きです。

帰宅するともうみんな寝ていたりして・・・
寝息を立てながら寝ている家族の顔を見るとホッとします。その瞬間が大好きです。
そして、その後に飲むアルコールの味は最高!!


さまざま瞬間に出逢い、昨年1年で数え切れない程多くの好きを体験しました。
それはぼくにとってかけがえのない財産です。
出会ってくださった方に感謝。本当にありがとうございました。

昨年1年の好きの積み重ねは2013年にもにも引き継がれ、
よりパワーアップした作品を作り上げて行くエネルギーになります。
大好きな仕事をして、たくさんの喜びの声を聞いてこれからも質の高い作品を作り続けられれば良いな。



昨年出会うことが出来た皆様ありがとうございました。


2013年もすべての皆様にとってスバラシき年になりますように。

本年もよろしくお願いいたします。



ケープ・ライト 河田洋祐


ケープ・ライトのホームページはこちらからご覧いただけます  

Posted by kawata at 11:27Comments(2)思い入れ

2012年08月14日

ひとりの夜に出会いについて考えてみる



お盆に入り、妻と娘二人は福岡へ里帰り。

例年はぼくもくっついていって福岡で美味しいものを沢山食べて
帰ってくるのだけど、今年はフェリーのチケットが満席でひとり関西に残ることに。


スタッフも昨日からお盆休みに入り、ぼくは家でもアトリエでもひとりの生活になった。


いつも必ず隣に誰かがいる日常が続いたので、ひとりだけというのは新鮮。
食べたいものを食べて、寝たいときに寝て、働きたいときに働いている。


夜遅くまでアトリエにいると、ケープ・ライトを立ち上げた当初のことを思い出す。
スタッフなんていなかった頃、暗室をしたりブログを書いたり△コーナーを作ったりと何でも自分で仕事を進めて
行かなければならなかった。24時間ずっと仕事漬けだった。


そのさなか、時間を重ねると共に様々な出会いが増えていった。

まず感謝しなくちゃいけないのが、多くのお客様が来てくださったこと。
一組一組のお客様が僕たちのことを信頼して大切な結婚式の撮影を任せてくださった。
それは他に変えられない嬉しさだ。

そして「ケープライトで働きたい!」という若者がちょくちょくやってくることが増えた。
縁があった人もそうでなかった人もいたけれど来てくれた人すべて、なくてはならない出会いだった。
(今、ともに仕事をしているスタッフみんな出発点はそこからだった)


ぼくは元来人の輪に入るのが得意でなく、輪の外側でポツンとマイペースに立っているようなタイプなので
そんな僕の所にわざわざやって来てくれるのが嬉しいしビックリしたりもする。


今年に入ってもポツンとマイペースなぼくに会いに来てくれる人が多くいる(なんて有難いことだ!)


ニューヨークでフォトグラファーをしているキョウさん夫妻が帰国したときに来てくださったり

東京でファッションフォトグラファーをしているミカエルさんが作品を見せにきてくださったり

就職活動中だったあんちゃんが「進路に迷ってるんです!」なんて良いながらアトリエに通うようになったり
(その後あんちゃんは無事就職がきまりました。おめでとう!)

僕と同級生のアートディレクター、すぎちゃんが「写真を勉強したい」と連絡をくれたり

椎名さんがいつもお母さんの手料理を持って仕事のグチを言いに来たり・・


さまざまな話を聞かせてもらって、素晴らしい写真を見せてもらったり、そういったことが大きな刺激になっている。


いまはひとりだけど、孤独ではないのが嬉しいな。


これからどんな出会いが待っているのかと思うとワクワクする。


ケープ・ライトでは表だった求人はしていませんが、


「ケープ・ライトで一緒に働きたい」

「写真を教えて欲しい」

「写真を見て欲しい」

「サイン欲しい」

「トイレ貸して欲しい」


そんな方大歓迎です。

いつもトイレ掃除を怠らずにお待ちしています。



そんなこんなで、ひとり静かに仕事をする夜に出会いについて考えるのでした。


すべての出会いに感謝。


河田洋祐


あ。最初の絵はスタッフのメーテルが描いてくれたもので、むっちゃ気に入っています。
メーテルありがとう!!  

Posted by kawata at 20:17Comments(0)思い入れ

2012年07月27日

宮城へ

_DSC3201.jpg



ちょうど1ヶ月前、宮城県の石巻・気仙沼へ行きました。

昨年の3月にあった震災後、ずっと「何か自分にできることはないか」と考えてきたのですが、「何も役に立てないのではないか」「行っても足手まといになるのではないか」と足がすくみ、行動を起こすことができずにいました。

今年に入って友人の美容師さんから「宮城にあるグループホームへボランティアカットに行くんだけど、河田さん、カットを終えてきれいになった人たちのポートレート撮ってもらえませんか?」という話をいただき、ぼくもそのプロジェクトメンバーの一員として参加することになりました。

メンバーは6人。美容師さんたちは昨年も同じメンバーでボランティアカットに来ていて
初めて被災地の現実を目にし、言葉を失ってしまったぼくたちに

昨年は信号がまだ消えたままで警察が交通整理をしていたこと、1年で瓦礫の撤去が随分進んだことなどこの1年での変わり様を教えてくれました。

この日も美容師たちは手際よくカットをして回ります。

ぼくたちはカメラを持ちつつ

スタッフの方の

「入所している人の話を聞くだけでも立派なボランティアなんです」

という言葉を思い出し、座っている色々な方の話を聞きました。

若かった頃の思い出話、震災の話、その後1年半に起こったこと・・

様々な言葉が頭の中に降り注ぎました。

たくさん話をして、髪の毛もさっぱりしたホームの方の顔は少年のように輝いて見えます。

ここからがぼくたちの大切な仕事で、輝いた顔にゆっくり語りかけながら1枚1枚大切にシャッターを切りました。

_DSC2971.jpg


13970001.jpg

13980007.jpg

13980011.jpg



今回の旅で普段会うことのできない人との出会いもありました。

石巻の「復興民泊」で出会ったのはボランティアのメセさんとカンボジア人のカメラマン、マック。
夜はみんなでお酒を飲みながら

震災2週間後の石巻の光景・これからの石巻
カンボジアで撮影した写真のこと
北京や東京で写真展を開催すること

徒切れることなく、様々な話をしました。


また、2日目に訪れた気仙沼の「海岸亭」という食堂ではオーナーのオノデラさんと意気投合。

生い立ちにはじまり、震災当日の話、
避難所でラーメンの屋台を出したこと、
ボランティアで出会った人々のこと(海岸亭の2回がボランティアの方の無料宿泊所になっていたそうです)

僕たちの頭で消化しきれないくらい多くの、貴重な話を聞かせていただきました。

_DSC2829.jpg

_DSC2865.jpg

_DSC3121.jpg

_DSC3127.jpg

14010007.jpg





そして、目を背けられない消えた街の光景も体感しました。

もっとも衝撃だったのが気仙沼でのこと。

僕たちは何も決めず夕方に気仙沼入り。宿泊する宿を探していたものの、営業している施設はどこもボランティアや震災復興に携わる方で満員でした。

途方に暮れていると

「南気仙沼駅周辺が一番の中心地らしい」ということがわかり、ぼくたちは南気仙沼駅を目指しました。
でも、カーナビに導かれた場所は一面津波で流された何もない場所。

どこが駅かも分からない状態でした。その光景を理解するのに僕たちの思考はなかなか追いつきません。

駅がどこにあったのかが気になり周りを走り回ると、プラットホームらしきコンクリートが見つかりました。
周辺に線路に敷いていたであろう砂利があったのでこれが南気仙沼駅で間違いないと感じました。

でも残っていたのはたったこれだけ。

駅舎も線路も駅前の商店も、何もかもが消えていました。

プラットホームだったであろうコンクリートの上に登り、ホームの先を眺めました。

ここに列車が通っていたんだ、ここから多くの人が仕事に、通学に出発していたんだと思うと、街がなくなることの、とてつもないことを実感として感じました。

阪神大震災でさんざん悲惨な光景を目にしたのは17年前。その時のことをいやでも思い出したし、
改めて、当たり前に日々の生活をできる場があることがどれほど恵まれているのだろうと感じました。


今回宮城に滞在した時間は約40時間。

こんなに多くのことを考えた40時間はこれまでありませんでした。
明日から生きて行くために与えられた時間だったとも思います。

ボランティアカットと撮影は来年以降も継続的に行う予定です。



河田洋祐



_DSC3108.jpg

_DSC3081.jpg

_DSC3278.jpg
  

Posted by kawata at 17:11Comments(0)思い入れ

2012年06月15日

フォトレッスンを前にして考えること



明後日に甲東園の写真屋&カフェ「フレーム」さんでフォトレッスンの講師をすることになっていて、いま教材作成のまっただ中です。

これまで年に何度かフォトレッスンをさせていただく機会があり
ぼくが大好きな写真の魅力が少しでも伝われば良いな・・と思いながら、むちゃくちゃ緊張しながらも講師を務めさせていただいています。
(もちろん実際レッスンを通してぼく自身が学ぶことも多くあります)

今回は「カメラを買ったのは良いけれど、シャッターを押す以外にどこを触ったら良いのか分からない」
と戸惑っていらっしゃる初心者の方向けのレッスン内容で、基本的な機能やカメラの構造などの話が中心になりそうです。

露出補正の話や、ホワイトバランスの話を写真を交えて分かりやすく小冊子に纏めているところなのですが、作って行くにしたがって、

「説明書みたいやな。これは」と思えてきました。

「こんなん、写真撮るのに大切なことやけど、こまごました操作ばかり教えても良い写真撮れないし、
写真のこと好きになってもらえない・・」

そう思えてきてなりません。

ぼく自身、写真を撮る上で一番大切なのは「その時感じたまま、何も考えずシャッターを切る」ということだとずっと思っています。そうすると写真の中に撮影したときの空気とか匂いといったものまで自然に写し撮られているのです。

(だから結婚式の撮影でもブレた写真がたくさん出てきます。ブレた写真でもその時のワクワク感が写っていれば良い写真やん!って思うんです)

なのに、あさってぼくは、細々した機能や操作を教えるのか??

それはおかしくないか??

と思えてきました。

うーん、やはりこれではダメだ。

冊子は説明書みたいに操作の説明を書くけれど、レッスンでも最小限の操作の話もするだろうけど、

「きょう教えた細々した操作のことは全部忘れて、感情のままシャッターを押してください!」

って言ってみよう。

そしてみんなで外に出て写真を撮ろう。好奇心のおもむくままに。

レッスン料返せって怒られるかもしれないけれど、
写真は頭で撮るのではなく心で撮るってことが最も重要なことだと思うし、ぼくが講師をするのならその事を教えなくちゃダメなんじゃないのか?

何か頭の中の薄雲がサッの流れ去ったような気分。あさっては写真の面白さを存分に伝えて楽しい時間にしよう。

あさってのフォトレッスンは有り難いことにキャンセル待ちになっていますが、今後も少しずつレッスンの機会を増やして行く予定です。興味を持たれた方はぜひお問合せください。


河田洋祐

フレームさんのホームページはこちらから

ケープ・ライトのホームページはこちらから

  

Posted by kawata at 20:24Comments(10)思い入れ

2012年06月07日

大塚ゆきさんのレコーディングに立ち会う







フルート奏者の大塚ゆきさんのレコーディングに立ち会ってきました。

大塚さんとは20歳のときからの友人でもあり、彼女の音楽家としてのプロモーション写真を
節目ごとに撮らせてもらっています。

そんな大塚ゆきさんが、この秋初めてのCDを発売することに。
そして、CDのジャケットデザイン&写真をぼくに任せてくれました。

依頼を受けてからぼくの脳みその少なからずの部分はずっとそのデザインのことを考えていて、
打合せも重ねてきていますし
風呂に入っていても、お酒を飲んでいても気がつけばそのことばかり考え続けていたりします。

きょうは大切な大切なレコーディングの日。

デザインに直接関係はないけれど、ぼくは現場の空気を感じておきたいと思い、
レコーディングに立ち合わせてもらう事にしました。

場所は琵琶湖のほとりのコンサートホール。お昼時を少し過ぎた時間にお邪魔しました。
音響が抜群のこのホールで大塚ゆきさん、ピアノの鈴木華重子さん、そして技術スタッフの方2名が
2日間かけて録音を続けています。

扉を開けて圧倒されたのが、ピンと張り詰めた空気。もちろん予想はしていたのですが
それをはるかに上回る4人の集中ぶりです。

「CDは一生残るものやから、妥協はしたくない」

大塚さんが話していたその言葉が頭の中でよみがえります。

息を合わせて、その瞬間に考えられる限り最良の音を追求して・・

いつも温和な表情の大塚さんからは想像できないくらい真剣な眼。
(コンサートの時の眼も真剣さが伝わるものだけど、この時はまた違った
質の光が差していました)

ひとつの曲を演奏して、録音を聞いて、直すべきところを話し合ってまた演奏。
それを何度も何度も繰り返します。

ぼくは息を詰めて一連の作業を間近で見続けました。

この現場に立ち会うことができて良かった。レコーディング中に写真なんて撮れないし
ビジネスとして考えれば、この一日では何の成果も出ないから無駄な時間になってしまうと
怒られるかもしれないけれど、
CDのデザインを作って行く上で、音が生まれる瞬間に一緒にその場に居ることができたの
は何にも変えがたい経験です。

写真を撮るだけがぼくの仕事であるのではなく、その人、そのモノの成り立ちを考えて
理解して、シャッターを切って、そこから生み出されるものがぼくの写真です。

カメラのシャッターを押すのは誰にでもできること。
でも写真を撮るとは被写体と心通わせるということ。

心通わせるための労力を惜しまず、これからもやってゆこう。

そんなことを改めて気付かせてくれた一日になりました。
大塚ゆきさん、関係者のみなさま、ありがとうございました。

音が出来上がったので、あとはデザイン。夏場はこの仕事に掛かりっきりになる予感。
よし、最高のものを作ろう。


河田洋祐

大塚ゆきさんのホームページはこちらから  

Posted by kawata at 11:49Comments(3)思い入れ